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身近なほとけ お地蔵さん

京都のお寺にあるにっこり笑っているお地蔵様

庶民に愛されるほとけ様

お地蔵様の正式名は「地蔵菩薩」といいます。地蔵菩薩と堅苦しく呼ぶよりもお地蔵さんというほうが耳馴染みがあると思います。お地蔵さんは路の辻(十字路)やお墓など私たちの身近な場所に存在しています。お地蔵さんを意識をして街中を歩くと、いたるところで見つけることが出来ると思います。そのお地蔵さんの前ではお線香が焚かれていたり、お供え物があることが多いです。それを見るとお地蔵さんが今でも深く信仰されていることがわかります。

街中にいるお地蔵さんのいらすと

地蔵菩薩とは

はじめに、菩薩とは悟りを目指すために修行をしている仏のことです。
菩薩は修行をしながら人々に現世での利益を授けてくれる仏なので、庶民から篤く信仰されています。たとえば、千手観音や十一面観音などで知られる観音菩薩、「三人寄れば文殊の智恵」の智恵の仏として知られる文殊菩薩などがあります。地蔵菩薩は命あるもの全てを迷いの中から救済し、悟りを得させる菩薩なのです。

地蔵の名前は、大地の蔵する力を象徴しています。大地が作物や樹木などあらゆるものを生み出すように、地蔵菩薩も無限のご利益を生み出す、という意味の大地の「地」と、財宝や穀物などを貯える蔵のように、人々を救う力を貯えて、いざという時にその力を使うという意味の「蔵」の2文字から成っています。
また、地蔵は元々大地の神と考えられていたので、万物を生み出す神=女神だとされていました。これはあまり知られていないですし、今の地蔵の姿を思い浮かべると女神だとは思わないと思いますが、名前の由来を知ると本来の地蔵の姿が見えてくる気がします。

地蔵は左手に宝珠を持ち、右手には錫杖(しゃくじょう)という杖を持つ僧の姿をしています。派手なものは何も身に着けずに、よく見かけるような僧の親しみやすい姿で人々の前に現れているのです。

地蔵菩薩の種類

地蔵菩薩の種類は本当にたくさんあります。人々の悩みや苦しみに寄り添うように日本各地に存在しています。通称名で呼ばれている地蔵菩薩を少しご紹介します。

  • 水子地蔵
  • 歯痛地蔵
  • 田植え地蔵
  • 縄目地蔵
  • いぼ地蔵
  • 腹帯地蔵
  • 不思議地蔵など

地蔵菩薩は子供とゆかりのある仏でもあり、旧暦7月24日(現在8月24日)に町内で地蔵盆というお祭りが行われています。各地で内容は違いますが、子供たち中心のお祭りというのは共通で、地蔵の周りでお菓子を食べたり、路傍の地蔵に色を塗って子供たちが遊んだりする所もあります。幼くして亡くなった子供の供養としての水子地蔵というのもあります。

大阪府にある龍眼寺の水子地蔵です
大阪府龍眼寺の水子地蔵

歯痛地蔵やいぼ地蔵などは人間の悩みに効くように作られた地蔵です。昔からの言い伝えがあったりする場合も多いです。これに限らず、様々な悩みに効くと言われている地蔵は日本各地にあります。

下泉全暁という住職の著書『地蔵菩薩 地獄を救う路傍のほとけ』には地蔵菩薩の救いについてわかりやすくこのように書かれています。

地蔵菩薩の救いをたとえれば、病人にとっての良い医者のようなものであり、老人にとっての杖であり、疲れた者が休むことのできるベッドであり、暗闇の中で道がわからなくなった人に道を照らし出す照明であり、月の清らかな光が煩悩の熱をさますようなものであると説かれる。

引用元:下泉全暁『地蔵菩薩 地獄を救う路傍のほとけ』 株式会社春秋社 2015年

地蔵菩薩の救いはこの世に生きる全ての人にもたらされるものだということがわかると思います。

縄目地蔵のお話

京都にある新選組ゆかりのお寺の壬生寺は本尊が地蔵菩薩です。この壬生寺の地蔵のお話は『太平記』に記録されています。

・・・・南北朝時代、足利尊氏の軍勢と戦った1人の武将が、足利軍の包囲を打ち破って壬生寺に逃げ込みました。どこに身を隠すか探している所へ寺の僧らしき法師が現れて、私の数珠とその刀を取り替えましょうと言うので、それに従いました。武将が数珠を持ちながらどうぞお救い下さいと祈願していると、追ってきた敵兵はその姿を見て参詣人だと思い怪しまずに通り過ぎました。敵兵は刀を袖に隠した法師を見て落人だと思い、その身を捕らえて牢獄にいれました。翌日その牢獄を見ると法師の姿はなく、芳香だけがたちこめていて、おかしいと思い壬生寺の本尊の地蔵菩薩を見に行くと、地蔵菩薩は鞭打たれたように黒くなり、縛り上げられた縄がついていました。捕らえた者たちは自分はとんでもないことをしたと罪を懺悔し、その場で出家しました。
この壬生寺の地蔵尊は縄目地蔵と呼ばれ、現在でも信仰を集めています。

東大阪市の不思議地蔵

不思議地蔵尊という地蔵が学研都市線 徳庵駅の出口に2年程前までありました。昭和27年に天王寺の慈雲山六大院から分身を付与されたものだということで、この地蔵にお願い事をすると不思議とその願いが叶うということから、不思議地蔵と言われるようになったそうです。
この地蔵は駅前の人通りが多い所にいたので、毎日お線香が新しく焚かれていて、果物やお酒などのお供え物もよく見られました。手を合わせている方もよく見かけ、本当に地域に愛されていたお地蔵さんでした。状態が良く穏やかなお顔で私のお気に入りのお地蔵さんです。現在は駅のエレベーター設置工事のため移転されています。

徳庵駅不思議地蔵尊です

お墓にいる六体の地蔵について

お墓参りをすると必ずお地蔵さんを見かけると思います。お墓にいるお地蔵さんは六地蔵と呼ばれ、人々を救うために存在しているのです。
仏教では六道という輪廻転生(りんねてんせい)の世界があると言われています。

  1. 天道・・・人道より楽の多い世界
  2. 人道・・・四苦八苦のある人間の世界
  3. 修羅道・・・戦いを繰り返す世界
  4. 畜生道・・・弱肉強食の世界
  5. 餓鬼道・・・欲望の塊の世界
  6. 地獄道・・・様々な苦しみを受ける世界

この6つの世界で人々を救うために、地蔵菩薩は6種に身を分けます。これが六地蔵の由来です。故人がどの世界へ行ったとしても、必ず救えるようにお墓に六体います。たとえ地獄に落ちた人でも、その人の身代わりとなって苦しみを受けてくれるのです。

大東市にある六地蔵

それぞれの世界の地蔵菩薩は名前も手に持っている物も違います。地獄道の地蔵菩薩は、閻魔大王の化身とも言われています。なので、左手には閻魔幢(えんまどう)を持っています。

東大阪市石切町の地蔵菩薩

大阪と奈良の県境にある生駒山の山裾にある石切劔箭(つるぎや)神社がありますが、その参道を登る途中に爪切地蔵尊という地蔵があります。

爪切地蔵尊

自然石に地蔵菩薩が刻まれていて、これは室町時代の作品だと言われています。そして、弘法大師が一夜にして爪で刻んだという伝説もあるそうです。
この地蔵の向かいには四光地蔵尊という地蔵もあります。

四光地蔵尊

どちらも似たような刻まれた地蔵です。どちらも地元の方に大切にされていて、信仰の深さを実感しました。

私たちの身近な所で見守ってくれているお地蔵さんのお話でした!お地蔵さんの説話は本当にたくさんあります。自分の住んでいる地域のお地蔵さんを調べると、その地域ならではのお話や、面白いお地蔵さんが発見できるかもしれません。お墓の六地蔵はよく見ると表情が違うこともあるので、いつかじっくり見てみてください!そして、街中ではお地蔵さんを見かけたら心の中だけでも手を合わせてみましょう♪

社内にあるお地蔵さんの置物♪
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