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働きやすい職場なのに離職?

近年、新卒採用で競争倍率が高い大手企業の若手社員の離職が増えているといいます。若手社員の離職といえば、長時間の残業やパワハラが横行する「ブラック企業」のイメージがありますが、大企業では労働時間の縮減、コンプライアンスが徹底されており、働きやすい環境がとられています。

高い倍率を勝ち抜いて大企業に入社した若手社員の間で早期の離職が増えている理由はどういうものなのでしょうか?

原因は「ゆるい職場」?

リクルートワークス研究所が大企業に勤めている新入社員を対象にした就労状況定量調査(2021年11月インターネット実施)などのデータを分析すると、「ゆるい職場」が一因である可能性が明らかになりました。

大企業の新入社員の労働実態ですが、

1週間の労働時間
1999年-2004年卒は「49.6時間」
2010年-2014年卒は「46.8時間」
2019年-2021年卒は「44.4時間」

と徐々に減少していることがわかります。月の残業時間は、おおむね45時間だったものが20時間ほどになっているといいます。また労働時間だけでなく、仕事の負荷についても、仕事量・仕事の難易度・人間関係のストレスの負荷が低下傾向にあったこともわかっています。

さらに、新入社員期に職場の上司・先輩から叱責される機会が「一度もなかった割合」は、1999年-2004年卒では9.6%だったのですが、この割合は入社年が最近になるほど高く、直近の新入社員では25.2%になっています。職場の環境も良くなり、「休みが取りやすい」「副業や兼業に肯定的」などの回答の割合が、直近の新入社員が最も高かったといいます。

これは、働き方改革関連法により、労働時間の上限規制が大企業を対象に適用され、2020年にはパワハラ防止法が施工されるなど、職場運営に係る法律が変わったことが起因していると考えられています。

ホワイト企業での焦りと不安

職場環境の改善により良いことばかりと思いきや、「不安」が高まっているといいます。前出の調査のストレスに関する質問では、新入社員の75.8%が「不安だ」と回答しており、1999年卒以降の新入社員期と比べると、微増している傾向がみられます。

この不安感を深堀すると、直近の新入社員の48.9%が、「自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないかと感じる」と回答していました。居心地は良いが社外で通用しなくなるのではという不安は、大企業ならではのものだと感じます。キャリアアップに必要な成長欲求の高まりに、ゆるいといわれる大企業は応えられていないのかもしれません。

若手社員の不安は、入社前の社会活動経験にも関係しているといいます。入社前の社会活動経験とは、「長期のインターン」や「起業や法人設立の経験」などのことで、学生時代に社会と繋がる経験がある方で、「不安だ」と回答している新入社員が41.9%に上っています。離職率でみると、活動経験が全くない新入社員が11.7%にとどまる一方、活動経験が多い新入社員が25.4%と高くなっています。

学生時代から社会活動を多く経験してきた若手社員が、「会社は満足できるが、不安」という状況であることが示唆されています。

会社側には若手社員が自ら育つことをいかにサポートできるかが重要となっています。多様な若手社員が活躍できる職場の未来を作るために、職場と若者の新しい関係性が求められています!

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