ウッドショック 木材の高騰
住宅の柱や梁(はり)に使う木材が歴史的な高値になっており、木材不足の状況が続いています。
日本では2020年後半から木材が手に入りにくく価格が上昇している状況となり、木造住宅の価格上昇や建設遅れが懸念されています。その状況はウッドショックと呼ばれ、木材を輸入で賄っている日本にはその影響が出ています。
1970年代に起きたオイルショックによって、トイレットペーパーが品薄になった状態に近いという声も上がっています。
ウッドショックの原因
2021年3月の初め頃アメリカやカナダ、ヨーロッパの建材価格が跳ね上がりました。
これにより製材業者や集成材業者は、国産材へ殺到し、日本でも価格が高騰し、それと同時に品不足にもなりました。
海外での建材価格の跳ね上がりの原因の1つは、アメリカの住宅バブルだといいます。
莫大な財政出動と歴史的な住宅ローンの低金利政策がとられたことで、市民がコロナ禍のリモートワークのため、郊外に新しい住宅を購入したり、リフォームを盛んに始めたことが価格の高騰に繋がったとされています。アメリカと同じことが中国でも起き、コンテナ不足という物流事情も加わって、高値となった木材を世界中から買い集めているといいます。
木材需要の6割を外材、特に建築材の多くをアメリカ、ヨーロッパの建材に依存している日本では、木材高騰の状況に手も足も出ず買い負け状態となり、一気に木材不足となったというわけです。
国産木材への動きは?
「7割が森林に覆われている日本は、木材が豊富にあるはず」
「国産材の需要が増え高値が続けば、林業が活性化する」という声が上がっています。
しかし、日本の林業界の動きは鈍いといいます。
林業界では、森林の所有者と木材の生産業者は別になっています。作業を行う森林組合や民間の林業事業体が、所有者と契約して伐採・搬出を行うのですが、計画は年単位で立てられ、伐採地と面積に合わせて人員や機材を確保する必要があります。長年続く低迷と人手不足により、ウッドショックだから増産する、という余裕がないのが現状です。
また日本のスギ材などの木材の強度が弱く、土台や梁向きではないといいます。
長引く不況によって森林の手入れを怠り、その量を減らしていたこと、日本の住宅着工件数の減少から必要性が落ちていたことが原因だとされています。
林業の活性化のため政府が進めていた「国産材を使おう」というキャンペーンがありますが、国産材の供給が十分でなければなりません。
少しずつ増産した木材が市場に出てくるようになれば、ウッドショックの事態が一気に鎮静化する可能性もあると言われています。ピンチをチャンスにできるかどうか、今構造的な改革が求められています。
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