ゲリラ豪雨の原因 積乱雲について知ろう
今年のお盆期間は全国的に大雨となったところが多く、特に西日本を中心に災害級の大雨が8/18現在でも降り続いている状況です。避難情報が出されている地域では安全に避難をしましょう。
毎年夏になると局地的で短時間に降る激しい雨、ゲリラ豪雨が発生します。ゲリラ豪雨は局地的で突発的に発生するため、予測が難しいです。ただ、発生する前には周囲にそれまでと違った強い風が吹くので、風が強くなったら要注意と知っておきましょう。ここではゲリラ豪雨の発生の原因である“積乱雲(せきらんうん)”についてお話します。
雷雨や竜巻をもたらす積乱雲とは?
積乱雲とは、強い上昇気流によって鉛直方向に著しく発達した雲で、高さは10キロメートルを超え、成層圏まで達することもあります。雷をともなう雲で、多くは雲の上の部分が平ら(かなとこ雲)になっています。発達した積乱雲には最大で600万トンの水が含まれていると言われています。
積乱雲は大気の状態が不安定なときに発生し、寿命はわずか30分~1時間で、局地的に数十mmの雨を降らせます。
大気の状態が不安定とは、上空に冷たい空気があり、地上には温められた空気の層がある状態です。温かい空気は上へと昇り、冷たい空気は下へと降りようとするため対流が起きやすくなり、地上付近の空気が湿っているときは特に積乱雲が発生しやすくなります。(参考:気象庁 積乱雲ってどんな雲?)
積乱雲が引き起こす現象は、局地的大雨・落雷・竜巻・突風・降ひょうです。これらの災害は夏に多いですが、1年を通して発生する可能性があります。
夏によくみられる入道雲も積乱雲です。
夏の晴れた日は、夕方にかけて大気の状態が不安定になるため、積乱雲が発生しやすく、山地だけでなく平野部でも突然発生することがあります。大きな雲が近づいてきて、あたりが暗くなり始めたらゲリラ豪雨に注意が必要です。
積乱雲が近づくとまもなく激しい雨や雷、時には竜巻などの激しい突風が吹く恐れがあります。積乱雲が近づくサインを知っておきましょう。
いくつかの積乱雲がまとまると、1時間に100mmの雨を降らすことがあります。水の重さを考えると、1m四方あたり1時間に1回、体重100kgの小柄な力士が数kmにわたって降ってくることになります。降った水は低地に流れたり、地面にしみこんで水害をもたらします。(参考:荒木健太郎『世界でいちばん素敵な雲の教室』三才ブックス)
天気の急変時に気を付けること
①雷鳴は危険のサイン!落雷に注意
雷鳴が聞こえた時には、すでに雷雲の下にいて危険な状況です。建物か自動車にすぐに避難して雷雲が過ぎるのを待ちましょう。木に落ちた雷が人体に飛び移る(側撃雷)ことがあり危険なので、木や電柱からは4m以上離れてください。また、グラウンドやゴルフ場、キャンプ場、海や砂浜など、周囲に高い建物がない平らな場所も危険です。
②竜巻・突風に注意
屋外にいる時に竜巻が近づいてきたら、ただちに頑丈な建物に避難しましょう。車庫や物置などは危険です。突風による飛散物にも十分な注意が必要です。家の中では、家の中心に近い窓のない部屋に移動してください。窓・雨戸を閉めてカーテンを引いて、頑丈な机の下で頭と首を守ってください。
③低い土地の浸水・河川の氾濫に注意
渓流、河川敷、中州、川のある公園、地下、アンダーパスなど、周囲より低い場所には水が集まり浸水の危険があります。冠水した道路は、路面の様子が分からず、流れが強いと簡単に流されてしまいます。水深が30センチを超えるとエンジンが止まる危険もあるため、冠水した道路は避けましょう。
最新の気象情報を確認しましょう
大気の状態が不安定などのワードを聞いたら、いつもより空の変化に気を付けるようにしましょう。ニュースだけでなく、スマートフォンに気象情報アプリなどをダウンロードしておき、警報、注意報の発表状況を見て、いつからいつまで何に気を付ける必要があるのか確認しましょう。
大雨警報・洪水警報、竜巻注意情報、記録的短時間大雨情報、自治体の避難情報、土砂災害警戒情報などは、すでに危険な状況で発表される情報です。テレビのテロップなどで流れたら必ず確認しましょう。
雨雲レーダーで今とこれからの雨を確認しておくと、更に安心です。「気象庁 雨雲の動き」「気象庁 今後の雨」と検索すると、積乱雲の位置と動き、これからの雨を知ることができます。
気象庁のホームページ以外にも、NHKのニュース・防災アプリや、Yahoo!天気アプリなど、雨雲レーダーが見れるアプリがあります。雨雲が来ると分かっていれば、「ゲリラ豪雨」も「ただの通り雨」です。今の雨の状況、これからの雨の情報を入手するようにしましょう。
雨雲レーダーで雨雲が通り過ぎるタイミングを確認し、太陽と反対側の空を見上げると高確率で虹に出会えます。日ごろから空を楽しむために、気象情報を使い、楽しみながらいざという時に備えるようにしましょう。(参考:荒木健太郎『雲を愛する技術』光文社)
参考:防災アクションガイド
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