健康被害が懸念されるPFASとは
先月29日、環境省と国土交通省が水道水の全国調査結果を公表し、富山県を除く46都道府県の332水道事業で、発がん性が懸念されているPFAS(有機フッ素化合物)が検出されたとのことです。(共同通信 2割の水道でPFAS検出 46都道府県、332事業)
NHKが作成した、水道水のPFAS検出状況マップ(2020年4月~2024年9月)を見ると、お住いの地域の検出状況がわかります。
PFAS(ピーファス)とは
PFAS(ピーファス)とは、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称で、1万以上の種類があるとされています。水や油をはじき、熱や薬品にも強い特徴等から、防水服、半導体、航空機火災に使用する泡消火剤、フライパンのコーティング等、幅広く使われてきました。
PFASは自然界でほとんど分解されることがなく、「永遠の化学物質」と呼ばれています。化学物質のPFOS、PFOAは、同じく自然界で分解されず、生物の体内に蓄積しやすいとされ、有害性も確認されており、国内では製造と使用が規制されています。(経済産業省 POPs条約)
PFASの健康への影響
PFASの一部は海外の研究で、発がん性や子どもの成長への影響等の有害性が指摘されており、長期間体内に蓄積すると以下の健康被害が懸念されています。
- 発がん性
- ホルモンかく乱作用
- 免疫機能の低下
PFASは自然界に残るため、水源が汚染されるケースがあります。岡山県吉備中央町では、昨年10月、水道水から1リットルあたり1400ナノグラムのPFASが検出されていたことが明らかになりました。これは、国が定めた暫定目標値の28倍にあたります。目標値を超えた水を飲み続けた住民の方の健康被害の懸念の声を受け、岡山県吉備中央町では、11月25日から全国で初めて公費による血液検査を行いました。
PFASは特に空港や軍施設の泡消火剤で広く使われていますが、現在確立されたPFASの汚染除去技術はありません。アメリカでは、全面使用禁止を含めた大幅な規制強化が進み始めているようです。
日本でも対応が求められていますが、12月3日の参院代表質問で、PFASが取り上げられると石破茂首相は、水道事業者へのPFAS検査の義務付けを来春をめどに取りまとめると表明しました。(スポーツニッポン 石破首相 「PFAS」の検査義務付け急ぐ 水道水から検出 発がん性懸念の有機フッ素化合物)
日本の水道水は、厚生労働省によって水質基準が設けられており、とても安全性の高い水を供給しています。お住いの地域のPFAS検出状況を見て、びっくりする必要はないということです。以下にNHKニュース あなたのまちの水道水は?全国PFAS検出状況マップ(最新版)より引用させていただきます。
マップで黄色は「目標値を超えていないが一定程度検出された」ところで、水色は「ほとんど検出されなかった」などと報告があったところです。
マップを見て、自分のまちが黄色や水色に色分けされていた…。
「その結果ってどうなの」と感じた人もいると思います。
そこで水道の水質管理に詳しく、国の検討会の委員も務める北海道大学の松井佳彦名誉教授に話を聞きました。
松井名誉教授
◎「黄色でも安心していいと考えられる」
「一定程度検出された地域(マップで黄色)に住んでいても、びっくりする必要はありません。あくまで目標値以下なので、安心していい数字だと考えています。一方、一般的に水質は変動するものなので、45ナノグラム以上など目標値に非常に近い場合、次の検査を含めて濃度が下がるかどうかウォッチしていく必要があります。定量下限値もしくは検出下限値未満(マップで水色)は極めて低い値です。水の中の物質をすべて取り除くということは難しく、一般に目標値の10分の1以下と考えられるため心配の必要はありません」◎「正しく知ることが大事」
「まずは、PFASという物質について正しく勉強していくことが重要です。検査結果については水道事業者のホームページに載っているところもあるので、自分のところの濃度が、過去から最近にわたってどうなっているかを見ることが大事です。環境省のホームページにもPFASの対応について掲載されています。
またPFASは慢性毒性といって、この水を飲んだらすぐ影響が出るというものではなく、一定の濃度以上の水を長い間摂取すると影響が出るかもしれないとされているものです。PFASのリスクはわからないところがあるので、目標値の50に近い数値の場合はウォッチして、事業体もなるべく数値を下げるようにしたほうがいいです」
ニュースなどで取り上げられ不安が広がっていますが、PFASについて正しく知ることが大切です!
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