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新型コロナ全数把握の見直しへ

新型コロナ対策をめぐり、岸田総理大臣は8/24、感染者の「全数把握」を見直す方針を明らかにしました。厚生労働省は、早ければ8月中に運用を開始したいとしています。

現在コロナは2類相当

現在、新型コロナは感染症法上「2類相当」です。2類相当ではすべての感染者を確認する「全数把握」が必要で、かかれる医療機関は「発熱外来」などとなっています。医療費や検査の費用はすべて「公費」でまかなわれていて、患者負担はありません。

一方、季節性インフルエンザなどの「5類」は、全数把握は行わず、患者は「すべての医療機関」にかかることができますが、医療費は一部自己負担となっています。

ポイントになるのが全数把握です。一部の知事や医療現場から見直してほしいと声があがったのです。北海道の鈴木知事は「オミクロン株では99%が軽症・無症状」だとして、全数把握が必要かどうか検討してほしいと発言しています。厚生労働省の専門部会メンバーからも、流行状況を把握するため、全数把握ではない方法の検討も必要だという意見が出ています。

全数把握の実態

現在、新規感染者の全数把握は医療機関が作成した患者の「発生届」をもとに行われています。感染症法では、新型コロナと診断した医師に対して、すべての患者の氏名や年齢、連絡先などの情報を発生届として保健所に提出するように義務付けられています。

国や自治体はこの発生届を集計して全国や地域ごとの感染状況を把握し、保健所などは発生届をもとに健康観察や入院先の調整を行っています。

発生届は国が導入した「HER-SYS(ハーシス)」というシステムを使用して提出されます。ですが、今回の第7波で感染者が急増し、入力や確認作業がこれまでにないほど増え、医療機関や保健所の業務負担となっています。医療現場からは「コロナ患者の対応に集中させてほしい」と見直しを求める声が高まったということです。

見直し後の変更点

今回の見直しでは、自治体の判断で発生届が必要とする対象を、高齢者や重症化リスクが高い人などに限定できるようにしました。

対象以外の若者などについても感染者の総数と年代別の人数を把握するとしています。これまで通り感染者数の集計は続けられるので、感染状況は引き続き把握できますが、発生届の対象外の人が自宅療養中に体調が悪化しても気付きにくくなるなどの懸念もあります。

厚生労働省は、発熱外来や保健所の業務がきわめてひっ迫した地域では、都道府県から届け出があった場合、発生届の対象を限定する措置を順次、実施可能にするとのことです。

大阪府の吉村知事は「見直しには賛成」としていますが、報告の対象外となった人たちの医療費の公費負担がどうなるのか、宿泊療養施設への入所や配食サービスなどの支援の手続きはどのように行うのかなど、判断に困ることが多いと述べています。

全数把握が見直されて医療機関などの負担が少しでも軽減されることは望ましいと思いますが、今後、公費負担がなくなり自己負担になった場合、数万円かかるとなると受診を控える人が増えてしまう懸念もあります。

2類相当から5類になると、自治体から行動制限をお願いすることができなくなります。さらに、新型コロナはまだ治療薬がないので、2類相当を維持したまま、保健所の運用を見直すという考えが出ているという状況です。

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