値上げラッシュ・・・
全国的にパスタや食用油などのスーパーでの価格が上昇!家計に影響を及ぼしています。
味の素は1日、うま味調味料「味の素」や「クノール スープDELI」シリーズなど25品について、6月1日納品分から約2~13%値上げすると発表しました。小麦粉や粗糖といった原材料価格の上昇が要因としています。
また、森永乳業が「クラフト スライスチーズ」などのチーズやデザート製品28品目を、希望小売価格、税抜きで10円から90円値上げまたは内容量を減らすと発表しました。中国をはじめ、世界的に乳製品の需要が大幅に増えていることから、輸入原料チーズの価格が高値で推移していることや、物流コストなどの上昇が続いているためとしています。
コロナ+ウクライナ侵攻による経済的ショック
小麦、大豆、とうもろこしなどの食糧は、コロナ禍の需要減に応じて生産調整をしていたため、この先1年程はモノ不足となり、国際価格が上がります。この経済回復の過程での値上げラッシュは仕方ないことだと考えられていたのですが、ロシアによるウクライナ侵攻で風向きは悪い方向にいっています。
ロシアへの経済制裁でロシア通貨のルーブルが暴落し、今年のロシア経済は2桁インフレが起き、マイナス2桁の経済成長に陥ると言われています。ロシア経済は世界で見れば1.7%規模で、日本への影響は少ないとの考えが経済制裁の前提だったのですが、様々な問題があるようです。
経済制裁で様々な商品価格が急騰
①小麦価格
ウクライナが欧州向けの小麦の一大生産地で、そこからの供給が止まってしまうと予測されていることから国際価格が急騰しています。
②原油、LNG(液化天然ガス)
ドイツがロシアからのパイプラインの停止を表明しています。世界的な供給不足観測から、原油価格は一時1バレル=130ドル台の高値水準になりました。
③ロシア産ニッケル、ウクライナ産パラジウムなどの希少金属
特にニッケルはステンレスの製造に欠かせない金属のため、これが入ってこない事態となると幅広い工業分野が止まってしまいます。
ウクライナ侵攻をするロシアへの経済制裁で最も効いているのは、SWIFT(スイフト 国際銀行間通信協会)排除によって、ロシア企業が海外企業との取引ができなくなったことだと言われています。ロシアへの打撃になっていますが、逆に日本、アメリカ、EUも、ロシア産の原油、ニッケル、木材を輸入できなくなっています。
また、経済制裁の一環で欧州の航空会社がロシア上空の運航を停止していますが、これも日本と欧州の貿易路の遮断となり、グローバルサプライチェーンの混乱を招いています。
この先予測されているのは、国際的な商品価格の高騰と、サプライチェーン上のモノ不足によって、この先インフレが加速するということです。具体的には第3次石油ショックのリスクがあるというのです。
第3次石油危機も
過去2回起きた石油ショックはどちらも産油国の政治問題が引き金となりました。
1973年から1974年の第1次石油ショックは中東戦争がきっかけで石油が入ってこないことから、深刻なモノ不足と狂乱物価を引き起こしました。1979年から1980年にかけての第2次石油ショックはイラン革命による減産がきっかけで起きました。日本は比較的小さい影響で済んだのですが、イランと敵対したアメリカではインフレに加え、ガソリンスタンドに長蛇の列ができるなどの影響が起きました。
今回のウクライナ侵攻では、ロシアからの原油供給が途絶えるにもかかわらず、OPEC各国が石油の増産に踏み切っていません。
産油国としては「この先、脱炭素の動きが進むことがわかっているので、むやみに設備投資できない」としています。しかし、OPEC(石油輸出国機構)は増産しないことが、脱炭素を進める先進国に対する政治的カードになっていることも理解している、つまり駆け引きとして原油高も同時に起こっているというわけです。
賃金レベルが上がっていないにもかかわらず物価だけが上がる現象、スタグネーション(停滞)とインフレーションが組み合わされたスタグフレーションという、経済学的に最悪の不況のひとつの入り口に立っていると言われています。
すでに日本ではコロナ禍で、マスクの価格が10倍に高騰したり、トイレットペーパーがスーパーの店頭から消えたりといった経験をしています。石油ショックが起こると、これらの現象が食料品や日用品などに広がる可能性があります。さらに、ガソリン価格や電気料金が高騰して家計を圧迫する結果、少しでも節約しようと消費が停滞し、日本経済でも大幅なマイナス成長に陥るかもしれません。
ウクライナ危機は私たち日本人の生活にも直結する危機となることを忘れないで、他人事と思わずに注目し続けないといけません。
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