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気になる選択的週休3日制とは?

政府の経済財政運営の基本方針となる「骨太の方針」に盛り込まれた「選択的週休3日制」について、様々な意見が出ています。

選択的週休3日制とは?

働き手の希望に応じて、雇用側が1週間に3日の休日を付与する制度のことです。1日8時間、週40時間以内の労働時間の規定を変えるものではないので、かえって業務の負担になる場合もあります。まずはメリットとデメリットをおさえておきましょう。

週休3日制のメリット

  • 仕事の効率化
    業務の見直しが進むことで、仕事の効率化が図れます。実働時間を短くしつつ、短時間でもしっかりと業務にあたれる体制をつくることが求められます。
  • 育児や介護などがあっても働き続けられる(雇用の維持)
    出産や親の介護などを理由に退職する例がありますが、従業員の働き方の選択肢が増えると、仕事を続けられる可能性が高くなります。
  • 人材不足解消に繋がる(雇用の確保)
    週休3日制を取り入れているホワイトな職場であることが認知されると、働きやすい職場を求める優秀な人材が集まる可能性が高まります。
  • イノベーションが促進される
    休日が1日増えることで、従業員が業務以外のものに打ち込める時間が確保できます。スキルアップやキャリアアップのための資格の勉強などに励めるようになります。

週休3日制のデメリット

  • 労働の負荷が増える
    効率化によって労働密度が上がり、現場の負荷が増えることが考えられます。また、勤務日の労働時間がこれまでよりも長くなる場合もあります。
  • 業務の煩雑化
    実働時間が短くなることで、これまで行っていた業務をすべてこなすことが難しくなり、これまで通りの業務をこなせなくなる場合があります。
  • 給料が減少する
    実労働時間に見合った給与に変更したいと考える企業は、給料の減額を検討します。企業側はコスト削減になりますが、従業員にとっては業務量が変わらないのであればメリットが感じられません。
  • 増員が必要な場合はかえってコストがかかる 等

週休3日制は会社側と従業員で大きく考え方が違い、また、従業員の年齢や環境などによっても考え方は違います。週休3日制をやってみたいという人の考えは、「難病があり通院が必要だが週休3日なら働ける」「正規雇用のまま子どもにもっと関わってあげられる」「50代になり自分の時間も大切にしたくなった」など様々な声があります。

逆に週休3日制をやりたくないという人は、「給与が低く、今より下がるなら無理」「コロナで仕事が減っている中、休日が増えたら副業をすることになり、体が壊れる」などの考えがあります。経営者の方の考えでも、「給料を変えずに休みを増加する場合は、受注単価を上げないと会社は成り立たない」と、会社の存続に影響するという意見もありました。

完全週休2日制の現状

週休3日制を議論する前に、現状週休2日制ですらないという意見も労働者から上がっています。厚生労働省の令和2年度調査「主な週休制の形態別企業割合」では、完全週休2日制を導入している企業は全体の44.9%にとどまっていることがわかります。週休2日制が月に1回や隔週で取り入れられている企業が37.5%でした。企業規模が大きくなるほど、完全週休2日制が制度化されている傾向にあります。(参考:令和2年就労条件総合調査の概況厚生労働省)

完全週休2日制でない会社や、有休を取れない会社、パートや派遣、フリーランスなど日当で計算する非正規雇用の働き方をしている方、教員や医療従事者などからは、週休3日制について考えられない、どう考えたらいいのかわからないという声もあります。

政府が進めている週休3日制は、週5フルタイムで残業も転勤も当たり前という正社員の働き方を変えようという動きの1つです。正社員の働き方に選択肢が増えることはいいことですが、同じ週休3日で正社員か非正規社員かで差別的な扱いがあってはいけません。週休3日制の普及を進める前に、①同一労働同一賃金の議論を深めること③週休2日制の導入③有給をしっかり消火できる制度の導入を進めることのほうが優先度は高いと思われます。

アイスランドで週休3日の実験

アイスランドでは、一部の労働者に対して週休3日制の実験を行いました。この実験では労働者の勤務時間が短縮された一方で、これまでと同額の給与が支払われました。アイスランドの研究者によると、大多数の職場で生産性が維持されたか向上したといいます。この実験には100の職場から2,500人以上が参加したとされ、これはアイスランドの生産年齢人口の約1%に相当するといいます。

労働者からはストレスが減ったと感じるようになり、健康やワークライフバランスが改善されたという報告があがっています。この実験は、「現代において労働時間を短くすることが可能であること」「進歩的な変化を取り入れることも可能であること」という気付きがあり、圧倒的な成功と評価がされています。

詳しくはアイスランドで週休3日の実験の記事をお読みください。

日本で様々な議論がされている週休3日制ですが、変化を恐れずに取り入れること、正社員と非正規社員の格差をなくすこと、働き手それぞれにあった働き方ができるような環境の整備が最も求められていると感じました。

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