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“心の病”過去最多 パワハラ防止措置について

厚生労働省が6月24日発表した2021年度の労災補償状況によりますと、仕事による強いストレスが原因のうつ病などの精神障害の労災認定は629件でした。前年度から21件増え、3年連続で過去最多となりました。

原因の1位は「上司などからのパワハラ(125件)」だったということです。

パワハラ以外の原因は、「仕事内容・量の変化(71件)」、「事故・災害の体験、目撃(66件)」と続いています。また、認定数を年代別でみると40代が最多の200件でした。労災申請件数をみると、精神障害の申請が昨年より295件増え、2,346件と過去最多でした。なぜパワハラはなくならないのでしょうか。

パワハラの代表的な言動の類型と例

厚生労働省 あかるい職場応援団 ハラスメントの類型と種類

厚生労働省のあかるい職場応援団のホームページに、ハラスメントの類型と種類が載っています。簡単にまとめますと以下の通りです。

1.身体的な攻撃
例:殴打、足蹴り、物を投げつける

2.精神的な攻撃
例:人格を否定するような言動、侮辱的な言動、必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返す

3.人間関係からの切り離し
例:1人の労働者に対して同僚が集団で無視し、職場で孤立させる

4.過大な要求
例:新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業務目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する

5.過少な要求
例:気に入らない労働者に対して嫌がらせのため、仕事を与えない

6.個の侵害
例:労働者の性的指向、病歴、不妊治療などの機微な個人情報について、了解を得ずに他の労働者に暴露する

職場における「パワーハラスメント」の定義は、

①優越的な関係を背景とした言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③労働者の就業環境が害されるもの

3つの要素をすべて満たす行為のことをいいます。客観的にみて、業務上必要で相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しません。

中小企業でもパワハラ防止措置が義務化!

今年4月1日から、中小企業に対する職場のパワーハラスメント防止措置が義務化されました。中小企業ではこれまで努力義務でしたが、4月1日以降は事業主が必ず具体的な措置を講じなればなりません。措置の内容を以下にまとめました。

・事業主の方針等の明確化および周知・啓発
①職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること
②行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること

・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③相談窓口を定め、労働者に周知すること
④相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じて適切に対応できるようにすること

・職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応
⑤事実確認を迅速かつ正確に確認すること
⑥速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
⑦事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
⑧再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も含む)

・あわせて講ずべき措置
⑨相談者・行為者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨を労働者に周知すること
⑩相談したこと等を理由に、解雇その他不利益取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

事業主は以上の措置を講じなければなりません。

パワハラをなくすために

パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントのない、誰もが働きやすい職場にするために会社ができることはなんでしょうか。

職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議は、2012年3月15日に「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を取りまとめています。

ポイントとして、組織で働くすべての人が、①互いの価値観などの違いを認め、尊重し合うこと②互いに理解し協力し合うため、適切なコミニュケーションをとること③問題があれば見過ごさず、パワハラを受けた人を孤立させないよう互いに支え合うことが大切だとしています。

会社としては、ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するため、研修や適正な業務目標の設定など、できることから取り組みましょう!

日本だけでなく世界で様々なことが起こり、非常に不安定な世の中である今、“相手を思いやること”の大切さを感じます。誰もが誰かの大切な人。そのことを忘れずにいれば、相手が傷つくこと、酷いことはできません。

厚生労働省 あかるい職場応援団
JIJI.COM 仕事で心の病、過去最多 629件、3年連続増―21年度

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