健康保険証から“マイナ保険証”導入へ
河野デジタル大臣は13日記者会見で「デジタル社会を新しく作っていくための、マイナンバーカードはいわばパスポートのような役割を果たすことになる」と述べました。
記者会見の中で、現在使われている健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードへ一体化した形に切り替えると政府が発表しました。また、運転免許証との一体化の時期についても、当初予定していた2024年度末から前倒しする方針も示しました。
マイナ保険証でできること
マイナンバーカードを保険証として登録すると、マイナンバー制度の専用サイト「マイナポータル」で、これまでの特定健診の結果や、処方された薬の情報、医療費などが見られるようになります。また、確定申告の医療費控除の手続きも、マイナポータルを通じて自動入力できるようになるということです。
医療機関なども、患者の同意が得られた場合は特定健診の結果や過去の診療情報などが見られるようになり、厚生労働省は「質の高い医療の提供につながる」としています。
マイナ保険証一体化にむけた今後の課題
日本では全ての国民が公的な医療保険に加入する「国民皆保険制度」を取っています。受診などの際に健康保険証をしめすことで、医療費の多くが健康保険や国民健康保険などでまかなわれ、一部を負担するだけですむという仕組みです。
政府は2年後の2024年秋には今の健康保険証を廃止するとしているので、それまでに全ての人がマイナンバーカードを取得し、保険証として利用できるように登録する必要があります。マイナンバーカードを保険証として登録している人は今月2日の時点でおよそ2480万人、全国民の2割にとどまっています。あと2年で全ての国民が手続きを終えられるのかが課題となっています。
また、1人暮らしの高齢者など、マイナンバーカード取得の申請をおこなうのが難しい人や、どうしても取得したくないという人などへの対応もどうするのか、検討する必要があります。
医療機関などの体制整備も課題となっています。厚生労働省は医療機関などに対し、原則として来年度からマイナンバーカードを保険証として利用できるシステムの導入を義務付けています。しかし、今月2日の時点ではシステムの運用を始めている医療機関や薬局は33.5だということです。医療機関へ負荷がかかったり、混乱が生じないように国の手当てをしっかりしてもらい、導入にかかる費用への補助額を増やすなど、整備をうながしていかなければなりません。
政府は全国民へのマイナンバーカードの普及にむけ、様々な取り組みをおこなっています。
オンライン行政手続き
基本ソフトの「アンドロイド」を使う一部のスマートフォンで、来年の5月からマイナンバーカードの機能を搭載し、オンラインで行政手続きが可能になるということです。税金の確定申告、保育所の入所申請、児童手当などの手続きがオンラインで出来るようになるなど、行政手続きの利便性が高まるとしています。また、民間事業者がマイナンバーカードで本人確認をする際に国に支払っている電子証明書の利用料を3年間無料にすることを明らかにしました。
行政側にとってもオンライン化は、迅速で正確な本人確認によって、ミスやなりすましを防止できるほか、事務処理の効率化やコスト削減などの効果が期待できるとしています。
政府はマイナンバーカードを来年3月までにほぼすべての国民に行き渡ることを目標としています。しかし、10月11日時点の申請枚数は全国民の56%にとどまっているということです。普及率をさらに高めるため、アンドロイドスマートフォンでのオンライン行政手続きができるよう進めているようです。iPhoneを使用している方もできるように、アンドロイドだけでなくOSのほうでも進めてほしいと思います。
マイナポイント
今年6月から最大で2万円分のポイント還元を受けられる「マイナポイント第2弾」を始めています。マイナンバーカードの取得にともなって最大5000円分、健康保険証としての登録や国からの給付金を受け取る「公金受取口座」の登録で、それぞれ7500円分ずつポイントの還元が受けられるというものです。
出張窓口
自治体の職員が企業に出向き、カードの申請をおこなうための「出張窓口」を設ける取り組みがおこなわれています。マイナンバーカードの申請や受け取りには、通常、役場などに直接本人が出向く必要がありますが、「出張窓口」を利用すれば昼休みなどにカードの申請や写真撮影ができ、カードも郵送で送られてくるということです。
携帯電話の販売店でも、カードの申請をサポートするサービスもおこなわれています。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社の携帯販売店あわせておよそ8000店舗で、店員がスマートフォン上で申請画面を表示させ、氏名や住所などの入力を一緒に進めてくれるほか、顔写真の撮影など、申請に必要な作業をサポートしてくれます。
マイナンバーカード 安全性は?
マイナンバーカード普及にむけては、個人情報流出への不安をどう払拭するかが課題です。デジタル庁は、今年1月から2月にかけて2万人を対象にマイナンバーカード取得状況のインターネット調査をおこないました。この調査でカードを取得していない人に理由を複数回答で尋ねたところ、「情報流出が怖いから」が35.2%と最も多かったということです。次いで多かった理由は、「申請方法が面倒だから」31.4%、「カードにメリットを感じないから」31.3%となりました。
マイナンバーカードの安全性について、寺田総務大臣は非常に安全なものとしていて、「ナンバーが仮に他人に知られたとしても、個人情報が流出することはない。ICチップには、税、年金、医療情報などの個人情報は一切記録されていない」と述べました。また、「万が一悪用された場合には、ただちにチップが使えなくなる仕組みになっている」と述べています。個人情報保護に十分配慮したものだということで、この点をいかにアピールできるかが普及へのカギだといえます。
マイナンバーカード 申請・受取方法
マイナンバーカードを受け取るには申請が必要になります。申請は郵送、オンライン、町にある証明写真機(できるものとできないものがあります)でおこないます。詳しくはマイナンバーカード総合サイトと検索するか、こちらからご確認ください。
申請を完了させると家に交付通知書が届くので、市区町村窓口へ持っていってカードを受け取るという流れになります。カードの受け取りはご本人になります。また、交付窓口では「暗証番号」を設定することになります。暗証番号は①署名用電子証明書(英数字6 文字以上 )②利用者証明用電子証明書(数字4桁)を設定するので、事前に決めておくのがいいです。
マイナンバーカードの健康保険証利用の申し込みはこちらのサイトをスマートフォンからアクセスしてご確認ください。パソコンの画面から利用を申し込むボタンを押すと、「ご利用の端末は動作環境を満たしていません。」と出てしまうのでご注意ください。
これからマイナ保険証としての制度が整っていくところです。反対の声も多くあるようですが、マイナンバーカードを作っておくと後々便利になっていくと思うので、余裕をもって作成しておくとよいでしょう!
この記事へのコメントはありません。